「視えるんです」


半沢先生が、雨宮さん、を……?

甘いものが好きで、怖い話も大好物だと言ってた、あの人が……!?




「半沢先生って、一体なんなんですか……」

「ゴーストスイーパー。って、本人は笑ってたね」

「……お化けの掃除屋さん?」




と言いながら頭の中に浮かんだのは、掃除機でお化けを吸い取る半沢先生の姿。

……なんだかちょっと、間抜けな感じ。




「お前な、もう少し格好良く言えんのか?」




シャッとカーテンが開き、気怠そうな半沢先生が現れた。




「仕事はいいんですか?」

「おう、2分で終わったぜ」

「……どこが山積みなんですか」

「そりゃああれだ、俺は仕事が早いからな」




けらけらと笑う先生は、『茶でも飲め』とペットボトルのお茶をくれた。

……うん、やっぱり時々優しい。
この優しい部分だけなら、十分信頼出来るんだけどなぁ……。

あ、そんなことより。 ゴーストスイーパーがどうとかって話、せっかくだから本人に聞いてみよう。




「あの、先生。 ゴーストスイーパーって、どういうものなんですか?」




よっこらせ、とおばあちゃんみたいに体を起こし、先生からもらったペットボトルの蓋を開ける。
そしてゆっくりとお茶を口に含み、喉へと送る。

美味しい。 疲れていた体が、生き返る感じだ。




「ゴーストスイーパー、つまりは退治屋だ」

「退治屋、ですか」

「除霊師と呼ぶ奴も居るけど、俺はそんなに甘っちょろくねぇわけよ」

「はぁ……そうなんですか」




なんか、あんまりよくわからないけど……でも、先生は幽霊を退治出来る、ってことかな。

あの鏡の女も、それ以外の、幽霊も……もしそれが本当なら、かなり凄い。


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