「視えるんです」
先輩の家……本田家は、代々視える家で。
生まれてくる子は必ず男で、必ず視る。
誰が決めたのかはわからない。 だけどそう決まっているんだ、と先輩は笑う。
「俺んちは多分、呪われてんだよ。
何かヤバいことをやらかして、それの代償……罰として、この力があるんだと思う」
「そんな……そんなことは……」
「まぁ、全てが仮定の話であって、本当のことを知るすべはないんだけどね。
でも、代々力が授かるのには、何か訳があると思うんだ。
何かをしなくちゃいけないような、そんな気がする」
……先輩が視えるのには、理由がある。
でもその理由は、わからない。
わからないままに、先輩は生きている……。
「じいちゃんが死んで初めて視た時、『来たか』と覚悟を決めた。
小さい頃から話には聞いていたけど、実際視えるようになるまでは、半信半疑というか……むしろ、『俺は違う』と信じようとしていた。
でも、運命は変わることなく、ソレは来た。 俺の目に映る世界は、その時から変わったんだ」