「視えるんです」


私の頭にあるのは、先輩への感謝。
そして、『守る』という言葉を、本田先輩を、信じる気持ち。

先輩自身のことを知って、先輩の家のことも知って、確かに複雑ではあるけれど。


それでも私は……ーー、




「私は、先輩を信じてます」




ーー……先輩が、好きだから。

好きな人の言葉を、信じていたいから。




「先輩の家が呪われた家だとしても、先輩は私を、守ってくれるんでしょう?」




必ず守る。 そう言ってくれた先輩を信じて、私は微笑む。

そんな私に、先輩は驚いた顔をし……それからふふっと笑みをこぼした。




「キミは、怖がりのくせに強気だな」

「えぇ、人間相手なら強気です。 なんてったって、首をへし折れますから」

「なるほど。ふふっ」




口元に手をやり、顔をくしゃっとさせて笑う本田先輩。
その姿が素敵で、可愛くて、そして、どうしようもなく愛おしくて。

迷惑かもしれない。と思ったけれど、私は本田先輩の腕に自分の腕を絡め、今までにないくらいに体を密着させた。

先輩はそれを嫌がることなく受け入れてくれて、そして、微笑んでくれた。

それが嬉しくて、私もまた、にっこりと笑みを浮かべて歩き続けた。


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