「視えるんです」




「キミは、弱いから。 だから狙いやすかったみたい」

「弱い、って……ハッキリ言いますね」

「自覚してるだろ?」

「……はい、自覚してます」

「後ろ向きな人間は、向こうからすれば狙いやすいんだよ。
あとは、病気とかで弱ってる人間。 回復しようと頑張る人は大丈夫。 でも、弱気になってる人はちょっと危険」

「……そうなんですか……」




私は幽霊が怖くて、いつも泣いてばかりの弱い奴だから、彼女は私を狙ったんだ……。




「夢の中で、俺の声、聞こえただろ?」

「あっ、はい!!」

「『絶対に、お前には渡さない。』、それが俺の意思であり、力の源。
勝てないとしても、戻すことは出来る。 キミが助かってよかったよ」




ニコッと笑いかけ、先輩は前へと視線を戻す。




ーー『この女は俺の女だ。 絶対に、お前には渡さない』




……それが、先輩の意思。
そして、力の源。

なんか、照れる。 っていうか恥ずかしい……!!

『俺の女』なんて、言われたことなんてないもの。
先輩は、私をそう思ってくれている。

嬉しいし、恥ずかしいし、そして、幸せだ。




「もう一回、言って欲しいなぁ……」




ボソッと言うと、先輩は首を傾げて私を見た。

そして次の一言は、予想もしてなかったもの。




「『勝てないとしても、戻すことは出来る』?」




……いえ、それじゃないです。

むしろ全然違います。


でも先輩は全然わかっていないようだったし、私が催促するのもなんか違う気がしたから、その話はそこで終了した。

そして、私の家へと近づいてきた。


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