「視えるんです」


必要以上に怖がらない。かぁ……。




「……あんまり怖がらないよう、頑張ります」

「うん。 見えないモノが相手でも、首をへし折るくらいの気持ちでいるといいよ。
そうすればきっと、寄ってはこないから」

「……つまり、怖がってる限りは幽霊が寄ってくるってことですか!?」

「まぁ、そうなるかもね。 じゃあまた」




……ちょっと先輩!!
なんで別れ際にそういうことを言うんですかぁー!!

怖がってる限り寄ってくる。って、メチャクチャ怖いじゃないですか!!




「怖いものは怖いのに、どうすればいいんですかぁー!!」

「半沢ティーチャーの愉快な顔を思い出せば大丈夫」

「……あの人の言った怖い話も同時に思い出しちゃいますよ……!!」

「あはは、頑張って」




と、他人事(ひとごと)のように言った先輩は、後ろ手に手を振って行ってしまった。

そりゃ、確かに他人事でしょうけど……!!

別れ際は明るい話題で締めてくださいよぉ……。




「先輩の意地悪ー!!」




そう言った私に、先輩は顔をくしゃっとさせて手を振った。


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