「視えるんです」
「やっと来たか」
「……はいぃ!?」
「まぁ入ってゆっくりしろ」
……なんで、知らない男の人が私に部屋に居るんですか!?
しかもベッドの上であぐらをかいて、偉そうに『ゆっくりしろ』とか何言っちゃってんの……!?
……いや、ちょっと待て。
いやいやいや、ちょっとどころじゃなくて、かなり待て。
この人、透けてるんですけど……!?
つまりこの人は、幽霊ってことですよね……!?
やばい。
悲鳴を上げる、5秒前。
「落ち着け」
はっ……そうだ、まずは落ち着かねば。
幽霊に言われて落ち着くのは、どうかと思うけど。
でも、確かに落ち着かなきゃ。
こういう時は、『首をへし折るくらいの気持ちで』だ。
えーっと、よし。 叩こう。
半沢先生が『叩けば大抵は消える』と言っていたから、叩こう。 思いっきり叩こう。
「成仏してくださいっ……!!」
えいっ!! と幽霊めがけて拳を振り下ろす。
……でも、無意味だった。
「触れない相手をどうやって叩くんですかぁっ……!!」