「視えるんです」


今のこの状態を一言で言い表すならば、それはもちろん『パニック』だ。

突然現れた半透明な男の人は表情を変えることなく私を見ているけれど。
私はもう、どうすればいいか全然わからなくて、涙が出そうだった。




「お願いしますぅ……成仏してくださいぃ……」




涙が出そう。 ではなく、既に出ている。

土下座しながら男の人に祈るけど、もちろんそんなもので消えるはずはなく。

チラリとベッドの上を見れば、男の人が私を見下ろしている。
ひぃ……怖すぎるっ……!!




「雨宮」

「……へっ?」

「俺は雨宮だ」




……あめみや?

あれ? どこかで聞いたような……。




「幽霊の、雨宮さん……?」




……あ!! 先生が鏡の女から解放したっていう、あの雨宮さん!?


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