「視えるんです」
「だから、俺は浮遊霊だからどこに行こうが俺の勝手だろう?
そんなことよりあの女、俺の力を利用しやがって……」
……あぁ、ダメだ。
この人は、完全にあの鏡の女のことで頭がいっぱいだ。
多分、『生きていた頃ならあんな女一撃で……』っていうのが、彼の思い全てなんだろう。
幽霊になっても自分の意思を貫けるというのは、凄いこと。だと思う。
そのくらい、生きていた頃のこの人は強かった。
だからこそ、負けたことが悔しいんだ。
負けて引きずり込まれた自分に、苛立っているんだ。
「あーもう今度会ったらぜってーぶっ潰す。 だからお前の体を貸せ」
「……はぁ!? え、なんで急にそんなことに!?」
「体が必要なんだよ。 あの女に負けた者同士、手を組んでぶっ潰さないか?」
……ちょっとちょっと!!
どこに行こうが俺の勝手だとか言っておいて、ソレが目的だったんですか……!?