「視えるんです」
……生きているものを、引きずり込む。
それが、あの女……地縛霊と呼ばれるものの力……。
「で、ここで半沢先生の登場だ。
まぁ、あの人が来たのは偶然だったんだけどな」
「え、そうなんですか!?」
「そ。 甘いものの食べ過ぎで腹を壊して。という、かなりヤバい状態」
「うわー……」
なんか、先生らしいっちゃ先生らしい。
そして、その場面が容易に想像出来ちゃう自分がイヤだ……。
「一言目が『お前らどけっ!!』だったな」
「あはは……」
「で、その時に殴られた。 ヤツは男子生徒に憑こうとしていたから、正確には、殴られたのは男子生徒だが。
それでもな、その『気』ってのが凄いんだ。 なんだろうな、デカい鉄球が飛んできたような、そんな感じで。
その勢いでヤツは男子生徒から離れ、そして俺は分離した」
……なんか、凄い。
よくわかんないけど、凄い。
先生自身が、切羽詰まった状態だったからこそ、凄かったのかもしれないけど……。
「俺の力が利用出来なくなったヤツは、鏡へと戻り……その中からこちらを見つめるようになったわけだ」