「視えるんです」
雨宮さんは、静かに言う。
俺はヤツを監視してきた。と。
誰も引きずり込まれないように、力を使っていた。と。
「でも俺は、ただの浮遊霊だから。 限界が近いことはわかっていた。
俺だけでは抑えきれない。 だから先生に声をかけ、力を貸してくれるよう頼んだが……結果は言わなくてもわかるな?」
「……タダ働きはしない。ですもんね……」
「正解」
……なんだろう、このモヤモヤ感。
命をかける仕事だから、タダ働きはしたくないというのはわかるけど……でも、少しくらい助けてくれたっていいんじゃないか。と、思ってしまう。
いや……他人事だからそう思ってしまうけど、命をかける側になったら、きっと私も……。
……私も、先生と同じ選択をしてしまうかもしれないな……。
「そこでお前の彼氏の登場だ」
「え、本田先輩……?」
「本田は俺に力を貸してくれた。が、残念ながら本田は、先生ほど強くない。
先生が10なら、本田は2くらいの強さだ」
そんなに力の差があるなんて……。
というか、“あの”半沢先生がそんなに強いの!? って感じ……。
「ま、そんな感じだったから、ヤツはどんどん力を溜めていってな。
今は、弱ってる人間が近づかないように警戒してるという状態だ。
それでも、お前が入り込んじまったんだがな」
う……なんか、ごめんなさい……。