「視えるんです」


……本田先輩と、会っていないからだろうか?

先輩のそばに居ると危険な目に遭う。と、やっぱりそういうことなのだろうか……。




「何もねぇとしても会うだろ普通。 付き合ってんだから」

「……そう、かもしれませんけど……でもこれが、私たちなんだと思います」

「へぇ、そうか」




甘いパンを口に運んだ半沢先生は、真っ直ぐに私を見る。




「てっきり俺は、アイツの力が怖くなったのかと思ったよ」

「……」

「無言は肯定と一緒だぞ」




肯定と一緒。
そう言われても、私はやっぱり無言のままだった。
だって、先生の言葉は、当たってるんだもん。

先輩と会わなくなったら何も無くなった。
つまり、先輩と居るから危険な目に遭うということ……。

怖い。
そう、私は怖いんだ。

先輩のそばに行くことが、怖いんだ。


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