「視えるんです」


……じゃあ本田先輩は、半沢先生のせいで何度か幽霊に襲われてるってこと……?

襲うって、穏やかな状態じゃないのは確かだよね。
先輩や雨宮さんが言う『危険な目』だ。

それでも先輩は、半沢先生のそばに居る……。




「本田は試してんだよ、自分の力を」

「ため、す……?」

「奴らのために何が出来るのか、自分がするべきことはなんなのか。
道を探してる。っつーのが正しいか。 俺からすりゃあ、危険きわまりないがな」




道を探してる。 それを聞き、先輩の言葉を思い出す。




ーー『何かをしなくちゃいけないような、そんな気がする』




だから先輩は、自分の力を試してる……。




「アイツが入学してきてすぐ、死にかけたことがあったなぁ」

「え……!?」

「あ、これは俺のせいじゃねぇからな?
ほら、事故の絶えない道ってのは、どこにでもあるだろ?
あの馬鹿はそこに挑んだ。 で、見事返り討ちにあったわけだ」

「そ、それで先輩はっ……!?」

「交通事故に遭って3日間意識不明。 当時も俺が担任だったから様子を見に病院へ行ったんだが。
アイツのそばには5体くらい憑いててなぁ、クソみたいに笑ったわ」




……ぜんっぜん笑い事じゃない!! かなりヤバいじゃん!!

まぁ、『過去』のことだから笑い事に出来るのかもしれないけど……でも初めて聞く私は、恐怖と不安で心臓がドキドキしている。

お茶をゴクリと飲んだ先生は、天井を見つめながら言う。


< 82 / 214 >

この作品をシェア

pagetop