「視えるんです」




「意識不明のアイツを見て笑う俺。 医者や看護師にこっぴどく叱られたなぁ」

「……でしょうね、不謹慎ですから」

「だって面白かったんだもん、仕方ねぇじゃん。
あ、その時に初めてアイツの親父と話したんだが、最初の一言が『視えるんですか!?』だったな。
それで俺はアイツの力、いや、アイツの家のことを知ったわけ。
お前も聞いただろ? アイツの家のこと」

「……はい」




呪い。と先輩は言っていた。
その話を、先生はお父さんから聞いたんだ……。




「親父さんは『黒っぽい影』としか視えないみたいだった。
昔はもっと鮮明に視えたのにって言ってたが。
だがそれでも、『よくないモノに手を出して取り憑かれている』とはわかるからなぁ、覚悟はしてたみたいなんだ。
いや、逆に『私の代で終わるなら』と言った。
子や孫が苦しむくらいなら、これで終わった方がいいと、俺の前で泣いたんだ」

「……」

「それが正解かどうかは、俺にはわからねぇけどな。
わからねぇけど、本田は生きたがってる。 それは確かだった」


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