恋愛のやり直し方
「赤と白どっち好き?」



「えっ?あ、どちらも好きですけど、白の方が好きかな?」





「じゃあ、コレがオススメ。飲みやすいと思う。俺もビンテージとか苦手だから」





私が選べずにいるのを分かって助け船を出してくれたんだ。
薄々気付いている。


友田の気遣いは半端じゃない。




まぁ、それが女にモテる理由でもあるんだろうけど……
だけど、どこか胡散臭い。



私の身体の奥の方で警笛が鳴る。





『この男に近づくな』





自分と似ているところがあるような気がする。
だからこそ、近づいてはいけないと思う。



「じゃあ、乾杯しましょう」



「綾の社会復帰を祝して」


「カンパーイ!」



チンとまるでベルが鳴るような音がした。
キラキラとコハク色に輝くグラスの中


ユラリユラリと揺れる水面を眺めながら、まるで自分のようだと思う。





――今日はちょっと感傷しすぎ……
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