恋愛のやり直し方
なのに、そんなことはお構いなしの実は、ハァーっと小さく息を吐いて




「本当に坂下さんの紹介なの?もしかして生活費足りないんじゃないの?だからバイトしてるんじゃないの?だったらもう少し――」



「ち、違うよ。生活費は足りてる。心配しないで」





実が全部言う前に私が大きな声を出して遮る。
だって、身勝手にも程がある。



私が言うのもなんだけど、この家のローンと私への生活費は一介のサラリーマンが負担するには高額だと思う。


現に実は美奈の住んでいたアパートに転がり込んだまま、新しいところに引っ越すこともなく生活している。

そして、私にはあんなに嫌がった仕事も、美奈には続けさせている。





だから、美奈が私に『はさみ』を送ってくる気持ちも分からなくはない。
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