恋愛のやり直し方
『今度こそ別れましょう』


言いかけた言葉は、衝撃と共に遮られた。





ガンっと鈍い音がした。
自分の身体が押し倒され、頭を打ったのだと気付くまでに時間がかかったのは、頭を打ったからだろうか?



チカチカしていた視界がはっきりすると、目の前には私に馬乗りになり見下ろす実の血走った目。






「やっぱり男ができたんだな?それとも、ずっと前からか?
もしかして、離婚前からできてたのか?


だからあんなにあっさり離婚に応じたんだな?それなのに俺は……美奈になじられてもお前への仕送りを必死にしてきたって言うのに!騙して笑ってたんだろ?」




突き進んだ実の思考は誰にも止められそうに無かった。
大きく張り上げる声に、耳の奥がキーンとし始めた。



ダメ。逃げちゃダメ。
しっかりして!私



意識を手放さないように必死で自身に声かける。
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