恋愛のやり直し方
「わっ」




クスリと友田の笑う声がして、振り向くとやっぱり笑っている友田の顔。
そして、解いた指は再びギュッと私の指に絡んできた。







「あったはずのぬくもりが無い時の男の凹み具合ってどんなだと思う?」



「え?」



「女ってさ。朝になるとフツーに日常に戻るじゃん。だけど、男ってそうスイッチの切り替えが上手くいかないの。だから、目が覚めて『あぁ幸せだなって』って実感できない時は、完結しない小説みたいな感じ」





私の右手を引きよせ、再びその腕に私を閉じ込めた友田。





「だから、女はその辺の事情をよく分かって――」




「ち、ちょっと、それはそういう事を終えた男女の場合でしょ?私と先生には当てはまらない」





友田の胸の中がすごく居心地が悪くて、そこから早く脱出した。

ううん。逆。

居心地が良すぎてそこにずっと留まってしまいたくなりそうで怖い。


< 356 / 548 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop