恋愛のやり直し方
『センセ、そっち戻ってませんか?』



そっちって言われても……ここ家じゃないし






「今、外にいるの。携帯は?電話してみた?」




『もちろんですよ。でも出ないです』





あ、やっぱりね。







それにしても、いい歳して仕事から逃げるとか……ダメでしょ。
友田はいい加減な生活はしていても、仕事は真摯に向き合ってきた気がする。


だから、エスケープしたって言われてもピンとこない。







「ねぇ、竜くん何かあった?」



『何でですか?』





一瞬竜くんの返事に間があった気がする。
それは、何かがあったと肯定しているようなもの。





「だって、先生が仕事を放り投げたりしないって竜くんが一番分かってるんじゃないの?」





メディアへの露出は作家の仕事じゃないって言われればそれまでなんだけど、でも友田はそれを放りだしたりはしないと思う。
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