恋愛のやり直し方
はっきりとはいえないけれど、竜くんの話を聞いていて私自身に当てはめると、身を引くよりも、自分自身に自信が持てなかったと言った方が近い気がする。






自分をかわいく思えない人間が、誰かを幸せにする自信なんてない。そんな風に思えて仕方無かった。







「綾さん、センセはもう誰も愛さないですよ。それでも思い続けるんですか?」



「……竜くん、心配ありがとう。でもね、さっきも言ったけど先生に私を幸せにしてもらおうって思ってないの。誰かと深く交わって生きて行くのが向いてないって分かったの。だから――」




「綾さん!そんなこと――」





何か反論したかったのだろう竜くんの口を指をあてて制止した。







「ごめん。誰の意見も求めてない」






シュンと項垂れる竜くん。
こんな私のために真剣に考えてくれたことに、答えられなくて申し訳ない。
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