恋愛のやり直し方
佐々岡さんは、朗らかに人を包み込むような笑顔で私たちを迎えてくれた。



私たちというよりは、きっと友田を。





「さ、席の用意はできてるよ。じきに陽が落ちるから、早く座って」





そう言い残して再びキッチンの中へと入って行った。







「じゃあ、こっち」



無邪気な笑顔を浮かべながらウェイターのように案内を始めた友田。
ドキンと高鳴るようなその笑顔も、今となってはチクリと胸が痛む。






彼の後についてトボトボと歩いていたせいで、気付かなかった。





「ここだよ」




「………っ!」






案内された先は、煌々と差し込む今日最後の太陽を真正面から見ることができる席。


そこは、まるでこの一瞬のために用意されたような席だった。
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