恋愛のやり直し方
「どぉ?気に入ってくれた?」




「………」







横で友田が何か話しかけていたのは分かったけれど、その神々しい程に輝く夕日に目どころか全身を奪われていた私の耳には届かなかった。








「スゴイ……」





ため息にも似た声が出た時には、陽が街の中へ半分ほど沈んだ後だった。






「これは、何で?」



立ち尽くし、目の前の夕日を眺める私の頬に、突然暖かいものが触れた。
それが、友田の手で、どうして添えられたのか気付くまでにいつもよりも倍時間がかかったと思う。





いつの間にか、ホントに自分でも自覚のない間にポロポロと大粒の涙がこぼれていた。




後から後から零れ出す涙を掬うように触れられた暖かいその手にハッとして友田の顔を見上げると、困ったように私を見つめる視線とぶつかる。
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