恋愛のやり直し方
「森嶋さん、顔に色々出過ぎて読み取れない。新しい技?」



意地悪に笑う友田の顔は、いつもよりも幼く見える。

それが、彼にとってのこの場所の特別さを物語っていて、そこに私を連れて来てくれたと言う高揚感がジワジワと身体中を浸食していく。




気を緩めると、だらしなく笑ってしまいそうに嬉しい。



なんとか平静を装って……と言っても、既に涙を零しているから平静ではないけれど。
浮かれている自分を悟られないように気をつける。




「座って」



椅子を引いてエスコートしてくれた友田に従って席に着く。
目線が変わっただけなのに、また一段と夕日に近づいた感覚になる。





いつの間にかテーブルに用意されていたワインを、慣れた手つきで注ぐ友田。
ゆっくりと注がれる真っ赤なそれは、夕日に照らされてキラキラと輝いている。


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