恋愛のやり直し方
グラスに満たされていくにしたがって変化し続けるその色さえも、特別だと言っているようで、思わず笑みがこぼれる。




注ぎ終わると、私へグラスを渡してくれた友田。





「乾杯してくれる?」



「何にですか?」




「今日はさ、俺が初めて小説を書いた日なんだ」



「……えっ」




夕日に照らされた友田の顔は照れ臭そうに苦笑している。




「自分に酔ってると思われるかもしれないけど、そうじゃなくて、毎年ココに来て、『あぁ、まだ書き続けている』っていう実感をするっていうか……初心を忘れないようにっていうか……


どっちにしてもセンチメンタルに聞こえるね」






ガシガシと頭を掻いてはにかむ友田の顔は、陽に照らされているだけじゃなく、真っ赤だった。
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