恋愛のやり直し方
上手く顔が作れているだろうか。
声は震えていないだろうか……



ボロが出る前に立ち去ろう。
ここでボロが出たらそれこそ惨めだ





「あの、私これで―――」



「お願いします。彼に会わせてもらえませんか?」




私が友田に渡したと聞くと、パッと一瞬笑顔を見せた。
まるで花が咲いたように可憐な笑顔だった。




だけど、その笑顔は一瞬にして不安な顔に変わった。





そして、深々と頭を下げて私に会わせるようにお願いする彼女の小さな身体を見て、ハ―っとため息が漏れそうになる。





今日はホントになんて日なんだろう。






「頭を上げてください。私は頭を下げられる立場にはないですから」


「でも、アナタは直樹の傍に――」




藁をもすがるような彼女の言葉を遮る。
だって、その先の言葉を自分で否定するのは辛い。
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