恋愛のやり直し方
静まり返る空間がひどく居心地が悪かった。


だけど、さすが高級マンションのエレベーターはあっという間に30階へと運んでくれる。
今日ほどこのスピードに感謝したことは無い。





「すごい!30階なんて…」

感嘆の声をあげる里美さんとは逆に、ずっしりと重たくなった気持ちをなんとか支えるのがやっとの私。



先に出た私の後を離れまいと付いてくる彼女は悔しいけれどやっぱりかわいい。
きっと、こういう女の人が『守りたい』と思わせるのだと思った。





「ここです。では、私はここで―――」



「すみません。中まで付いて来てもらえませんか?」



ドアロックを解除してドアをドアノブに手をかけた私の言葉を里美さんが遮った。
< 440 / 548 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop