恋愛のやり直し方
「じゃあ、中までですよ?」




結局、彼女に対するプライドが勝った。
私の返事を聞いた彼女はその顔をパーっと輝かせる。



ガチャリと重たいドアを開ける。
いつもは感じないほどなのに、今はやけに重たく感じる。





うっすらリビングの明かりが漏れている。


友田はきっと今もそこにいるはずだ。






数歩先のそこが、最後通告されるまでの道のりのように感じてしまう。




私の緊張とはちがう種類の緊張をしている里美さんのゴクリと息を飲む音が聞こえてくる。






点と地の差の私たち。



トントンとリビングのドアを叩いて「森嶋です失礼します」と声をかけると、中から掠れた友田の声がした。


< 442 / 548 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop