恋愛のやり直し方
さっきまで冷静であろうとした自分はどこかへ吹き飛んだ。


俺はあからさまに敵対心を乗せた視線を向ける。



そんなことには全く怯むことのないソイツ。


「綾はアンタのとこだろ?俺にどうこうできるワケないだろ?」




そう。
綾は確かにコイツの部屋に消えてった。


ドアが閉まる寸前にコイツは俺の事を睨んだじゃないか。



それを知っててあえて俺の傷を抉るような事をしてきてるってことか?



ソイツの意図を俺が汲みかねていると、フッと、バカにしたような笑いを漏らした。


「アンタホントに作家なの?そんなんでよく人間の内面書けるね。綾が俺の方を向いてるかなんて見てれば分かるだろ?

それとも、それはアンタの願望なの?だとしたら、遠慮なく綾を獲りにかかるけど」




「………」



何も言い返せない。
綾が向いてる方向がどこなのかなんて、考えもしなかった。

俺……なにやってんだ。
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