恋愛のやり直し方
いつの間にか眠りに落ちた俺が再び目を覚ますと、俺の腕の中には、まるで子猫のように丸まった綾の姿。



スースーっと心地よい寝息を聞きながらそっと前髪に触れる。



柔らかいその感触を楽しみながら、ふと、お前が時々見せるその深い闇のような眼を思い浮かべる。




きっと自分のでも気付いていないだろう綾の闇。



それが何なのかまだ分からないけれど、俺はきっとソイツからも綾を守ってやる。





俺の全部をかけてお前を守ってやるから。






だから、綾、お前も全てを俺に預けてよ。




だれかの人生を手にしたいなんて思ったこと無かった。
俺自身の人生すら持て余しているわけだから。





初めて全てを欲しいと思った女。




その女が今、俺の腕の中に無防備な姿でいるって事だけで、俺は十分幸せだ。




だけど、人間ってヤツはいつでもその上を望んでしまう。
それが、今あるものすらを危うくするとも知らずに……
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