それでも私は人斬りだった。
「どうして、君みたいな子が刀を持ってるの?」
「!?」
まさか、この人。
私が女だって気づいて……。
普段は男装をしている。
今まで「女のようだ」と言われたことはあっても、
気付かれたことはなかった。
「お前は、一体……」
「僕は、新撰組一番隊組長、沖田総司。」
新撰組?
最近、京で噂の幕府の……。
「君は女だね?」
やっぱりばれていた。
私はいっきに血の気が引いていくのが分かった。
私は、何も答えられなかった。
ただ、一つの疑問が浮かび上がった。
「どうして、私を斬らないんだ?」
「なんでだろうね?」
そういって沖田さんは、笑った。
「ただ……。」
「次、戦場(ここ)で会った時は、殺すよ?」
沖田さんは冷たく言った。
そして私を鋭い人斬りの目で見つめた。
その目に、私は一瞬、恐怖を感じた。
沖田さんは、そのまま私の横を通って、2階へ向かおうとした。
「待て!」
私は上に人がいることを思い出し、我に返って刀を抜いた。
でも、私が刀を抜いた瞬間、私の刀は沖田さんに折られた。
「!?」
速い。
剣筋が全く見えなかった。
「君とはできるだけ戦いたくないな。死にたくなければ、もう刀を持たないことだね……。」
沖田さんの言葉は、私に強く突き刺さった。
私は、その場に崩れた。
多分、上にいる人たちは、沖田さんに殺されるだろう。
それを分かっていながら、私はその場に落ちてる刀を拾って、2階へ向かう気力がでなかった。
月明かりが私を冷たく照らしていた。