それでも私は人斬りだった。


「どうして、君みたいな子が刀を持ってるの?」


「!?」


まさか、この人。
私が女だって気づいて……。

普段は男装をしている。


今まで「女のようだ」と言われたことはあっても、


気付かれたことはなかった。


「お前は、一体……」


「僕は、新撰組一番隊組長、沖田総司。」


新撰組?


最近、京で噂の幕府の……。


「君は女だね?」


やっぱりばれていた。


私はいっきに血の気が引いていくのが分かった。


私は、何も答えられなかった。


ただ、一つの疑問が浮かび上がった。




「どうして、私を斬らないんだ?」



「なんでだろうね?」


そういって沖田さんは、笑った。


「ただ……。」





「次、戦場(ここ)で会った時は、殺すよ?」


沖田さんは冷たく言った。

そして私を鋭い人斬りの目で見つめた。


その目に、私は一瞬、恐怖を感じた。


沖田さんは、そのまま私の横を通って、2階へ向かおうとした。


「待て!」


私は上に人がいることを思い出し、我に返って刀を抜いた。


でも、私が刀を抜いた瞬間、私の刀は沖田さんに折られた。


「!?」


速い。


剣筋が全く見えなかった。


「君とはできるだけ戦いたくないな。死にたくなければ、もう刀を持たないことだね……。」


沖田さんの言葉は、私に強く突き刺さった。



私は、その場に崩れた。



多分、上にいる人たちは、沖田さんに殺されるだろう。


それを分かっていながら、私はその場に落ちてる刀を拾って、2階へ向かう気力がでなかった。



月明かりが私を冷たく照らしていた。



< 11 / 13 >

この作品をシェア

pagetop