それでも私は人斬りだった。
……ーーー。
「すみませんでした。」
私は正座をし、鼻が畳についてしまうくらい、深々と謝った。
昨日の件の報告のため、私は桂先生の元を、尋ねていた。
それは任務を達成できず、自分一人だけが生き残ってしまった、という最悪の報告だった。
「まぁ、そう気を落とすな。お前はまだ若いし、先がある。お前だけでも生きてて良かった。」
桂先生は、全く怒っていなかった。
むしろ笑顔で私を迎えてくれた。
それでも私自身、納得がいかなかった。
身体は傷一つ付かなかったものの、
私の心は彼によって、深く斬られた。
私は、ぎゅっと手を握りしめた。
私は、情けをかけられたのだ。
彼と私の実力は、あの私の抜刀の瞬間で分かった。
彼は殺そうと思えば、私を殺せた。
でも、彼は私だけを生かした。
女だから?
これは、沖田さんの優しさかもしれない。
でも私にとってその優しさは、斬らたも同然のことだった。
「悔しいか?」
「はい。」
私の目は、いつの間にか大粒の涙で溢れていた。
「強くなれ。遼。自分だけじゃない、他人も守れるくらい。女という壁を越えて……な?」
「はい……。」
私はただ、強くなりたいと思った。
彼に情けをかけられないくらい。
もっと……。