それでも私は人斬りだった。
「それと、ちょっと聞きたいことがあるんだが?」
桂先生の表情が急に険しくなった。
「お前は、誰に襲われた?」
「浅葱色の羽織りを着た一人の男です。」
「一人?本当に一人だったのか?」
桂先生は「信じられない」というような目で、私を見た。
「私が確認したのは……。」
桂先生は、驚いた表情をした。
「一人であれだけの護衛を殺るほどの凄腕……。遼が手も足もでなかったなんて。……天才か?」
天才。
彼を天才という一言だけ表して良いのだろうか?
「浅葱色の羽織りか……。要注意だな。」
桂先生はボソッと呟いた。
「では、私はこれで……。」
私はそう言って、まだ聞き足りなさそうな桂先生を無視して、その場を後にした。