それでも私は人斬りだった。
次の日。
私は何事もなかったかのように、団子屋で働いていた。
「よう。遼。昨日も殺ったようだな。」
「はい。囲まれてしまったんで。」
隣で団子を頬張るのは、桂先生。
私の師だ。
「どうせ、すごい殺気でもたててたんだろう。」
桂先生は私を見て、ニヤリと笑った。
「で、今日はどうしたんです?わざわざ私の働き先までやって来て……。」
「いや、遼の様子を見に来ただけだよ。弟子を心配して来るのに理由なんているか?」
「いえ……。」
ただ私を心配して来たのなら、理由なんていらない。
桂先生は、私を幼い頃から育ててくれたのだから。
でも桂先生は、そんな理由で易々とここを訪れるような人ではないはずだ。
「まぁ。お前に斬られた奴らも、まさかお前みたいな凄腕の剣士が女で、団子屋で働いているなんて思わないだろうな。」
桂先生は私を見て、楽しそうに笑った。
「今更何言ってるんですか?私を女剣士に育てたのは桂先生でしょう?」
私は思わず、鋭い口調で言った。
そんな私を見て、桂先生の表情が曇る。
「……そうだったな。恨んでるか?人斬りなんかに育てて……。」
「いえ。」
たしかにきっかけは、桂先生だったかもしれない。
でも私は、私の意志で人斬りをやってる。