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カフェオレ
『…三角の目をした羽ある天使は恋の知らせをきいて右腕にとまって目くばせをして'疲れてるなら止めれば?'…』
古いラジオから音がする。きっと高音部分になれば、音が割れるに違いない。
夏が始まる前の雨の季節。しとしとと優しく降り続ける雨の音と、おんぼろスピーカーから聴こえる夏の恋の歌がゆっくり溶け合う。私が一番好きな空間。一番好きな季節。
そのとき、ギィ…と扉が開く音がした。あいにくの天気に雨宿りのために入店した客かなと思いつつ、ゆっくり顔を上げる。
「いらっしゃいませ…」
と口に出してから、言葉をつぐんだ。
だってお客さんは…あの人だったから。