不思議な“キツネ”ちゃん
「それじゃ、ここでする?」
私が指で示したのはすぐそばにある、
図書室。
ここの生徒は
あまり図書室を利用しない。
まあ、原因は私、キツネだけど。
あ、そーいえば最近アレやってない。
「ええ、そうしましょう」
『アカイ指輪』
本当は私が始めたものではない。
彼が会社でやっていたことを
真似しただけなのだから。
「誰も、いないのね。やっぱり」
彼女が私を見ながら確信しながら言う。
まあ、多分噂を聞いたのだろう。
キツネは図書室のある階に棲んでる
っていう噂を。
「それで、何の用かしら?」
彼女には用なんてないはず。
彼のことはまだ知らないはずだし。
彼女の親、まあ旦那の方のだけど、
話をつけてある。
彼の会社が大きいお陰で
誰も逆らえない。
彼が築いてきた、あの残酷な人達が
創り上げた会社のお陰で。