不思議な“キツネ”ちゃん
キツネは包帯とガーゼを
持って出て行った。
あまりにも素早い動きで
俺は止める間もなかった。
キツネの居所は不明のため、
追いかけるのはやめて職員室に戻った。
キツネが仮面の中で泣いていたのも、
朱理がつくった原因で傷ついてるのも、
それで病院が嫌いになったのも、
俺は知らなかった。
知ろうとも、しなかった。
もしも、俺があの時。
キツネを追いかけて知ろうとしたら。
きっとあんなことは起きなかったのに。
たけちゃん《サイド》終わり