不思議な“キツネ”ちゃん
「私はね、宏樹」
静かな診察室に響く私の声。
宏樹は私の目から逸らさずに聞いてる。
この選択がもしかしたら宏樹を
苦しめるかもしれない。
もしかしたら選択が間違えてるかも。
でも私は決めたんだ。
「今は、入院しない」
「だってまだ頑張れるから」
「でも多分それも限界が来る」
「その時が来たらココに来る」
「宏樹、その時は私の事頼む」
残酷で酷い選択を、お願いを。
私は優しい彼にする。