不思議な“キツネ”ちゃん
「まずは、俺らの部屋に招待するよ」
矢島隆は私に手のひらを向けた。
「ようこそ、瀬峰工業高校へ」
皆が矢島の手のひら、いや私の行動を
じっと見つめているのがわかる。
私がこの手をとることは藤咲を
裏切るということにもなる。
確かに藤咲はいい学校だ。
楽だし面倒ではない。
その上私はその学校の支配者でもある。
でも私の目的はただひとつ。
彼女、鹿野朱里に思い知らせること。
だから裏切るのは怖くない。
それに藤咲だって私には逆らえない。
学園には大金を寄付してる。
生徒には恐怖で支配してる。
結局、私は死ぬのだから何も失うことはないし恐れてることもない。
「よろしく」
だから私は矢島隆の手をとった。
後悔はしてないし、
これからもしない。