不思議な“キツネ”ちゃん

「ねえ」

静雅はソファから体を起こして
キツネの方に顔を近づける。

「なんだよ、静。発情期か?」

静雅たちをみる慎吾の顔は
本当に悪ガキ大将にみえる。

静雅の行動を不思議に思うけど
変なことはしないと思う。

だから静雅を止めずに紅茶を飲む。

「その顔って自前なの?」

「「ぷっ」」


「あらあら。隆、汚いわよ」


いやいや、キツネ。

そこじゃねぇだろ。

注意するとこはそこじゃねぇよ。


「ゲホッゴホッゲホッ」

「あ、本当に汚い」

「ちょ、タカ、大丈夫か?」

心の中ではキツネに突っ込むが、
実際はむせて話すこともできなかった。

てか、心配してくれたのが
慎吾だけとか寂しいんだけど。

キツネはまだしも、静雅。
お前は心配くらいしろよ。

「よしよし。大丈夫か?あっ静台拭き。
キッチンにあるから取って。」

「ゲホッ。ああ、なんとかな」

「はい、タカ。台拭き」

「キチンと拭いてよ。汚いわ」

「はいはい。ありがとな、慎吾」

テーブルに飛んだ、吹き出した紅茶を
静雅が持ってきた台拭きで拭いていく。

「んで、どうなの?キツネ」


また、その質問するのかよ。

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