不思議な“キツネ”ちゃん

そう言って昨日貸してもらった教科書を返す。

「あと、これも。ごめんね」

キツネちゃんの机から勝手に拝借した教科書も一緒に手渡す。

キツネちゃんはその教科書を見て
何のことが分かったらしい。

「ああ、いいよー。別に」

起こると思ってた私は拍子抜けした。

「えっ、怒らないの?」

「うん。別に使わないしー」

「じゅ、授業は?」

「あんまり、受けないしー」

キツネちゃんの声が大きく感じて周りを見渡すが誰も気にしてなかった。

てか、
授業受けないと留年しないのかな?

あっ、でもテストの結果で
進級できるんだった。

「えっと、これありがとうね」

そう言って返したのに

なぜかキツネちゃんは受け取らない。


もしかして、
私が触ったから嫌!みたいな?

それとも
何かお返しをしないとダメ、とか?

まさかの、お金よこせ、とか!?


「教科書届くまで貸すよー」


あ、なんだ。
よかった。

でも、

「いいの?」

「私、使わないしー。欲しいならあげるよ?」

「えっ!?」

「まだ、注文してないでしょー?」

ええ、まったくその通りです。

「だからあげるよー」

「本当に?」

「ほんとー」

「ありがとう!あ、お金は」

「いらないよー。気にしないでー」
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