不思議な“キツネ”ちゃん
鹿野朱里《サイド》
今日、学校に来てみたら
キツネちゃんはいなかった。
いつもHRのちょっと前に来るから
来るのを待っていたのに。
「えっと、今日の休みはあの方だけですね」
「ぇ、今日、キツネちゃんはお休みですか?」
転入するとき以来、1度も話してない担任に
聞くと、
「はい。お休みです」
にこやかに返事が返ってきた。
まあ、先生たちからしたら嬉しいかもね。
先生たちってキツネをちゃんを
“怖れている”から。
そのためか先生の中には
“キツネ様”や“あの方”と呼ぶ人がいる。
昨日の遅くに、京のお参りにきた
たけちゃんによると、
キツネちゃんはこの学校で一番偉いんだって。
生徒の中にはお金をたくさん足して、
少しだけ“自由”を貰ってる人がいるらしい。
でもそれも結局、
出席日数とかを少しイジるとか程度。
だけど。