不思議な“キツネ”ちゃん



だから教師は彼女に逆らえない。



もちろんたけちゃんも、校長も、理事長も。





生徒たちはこの事を知らない。




だけど。


何も知らない生徒たちも彼女に逆らえない。




理由はよくわかんない。

けど、ある事件を境に逆らえないらしい。



事件がおきたのは入学式の次の日。

クラスの誰かが、

キツネちゃんの格好を面白がって

彼女の仮面を外そうとしたらしい。


すると彼女が怒って、何かしたみたい。

だけど、その“何か”は不明。



たけちゃんもいろんな人に聞いてみたけど、

これ以上は話さないらしい。



いや、話せない。

無理矢理話を聞くと泣き出す、と。

ただ、

「話せない」「話したら殺される」と。


いったい、クラスで何がおきたのだろうか。


事件の日、
タク君達は休んでいたため何も知らない。

そこまでキツネちゃんは危険なのだろうか。

いくら考えてもわかることは一つだけ。



彼女の周りはいつも秘密で固められている。




「それじゃ、これでHR は終わりにします」

担任が言ったと同時に鐘がなった。

考え事をしていると時間が早く過ぎてしまう。


授業の準備をしないといけないけど。

キツネちゃんがいないから
授業を受ける気がしない。

この学校はサボる人が少ない。

しかもサボるとしたら最初から。

途中に抜けたりしない。

真面目なのかよくわからない。



まあ、私も同じだけどね。


時計を見ると授業が始まるまであと10分。

彼らの所に行こうかな?

イヤでも、迷惑かもしれない。

朝から行くなんて。

それに誰もいないかもしれない。





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