不思議な“キツネ”ちゃん
え、なに!?
こ、怖いんですけど。
「あんた、ちょっと来なさい!」
そう言われてなぜか図書室に連れてこられた。
着いてくるつもりは一切なかったんだけど。
ものすごい力で腕を掴まれていて、
抵抗できなかった。
「それで、なんの用事ですか?」
さっきの様子からして、
きっと彼女はタク君達が好きなんだろう。
「タク君達の事よ!」
だって。
タク君達ってイケメンだし。
きっと女の子達にモテるだろうな、って
思ってたし。
京の時も同じようなことがあったからわかる。
こういう子達も、
真剣に彼らに憧れを抱いてるんだって。
ただの遊びとかでもなくて。
本気で彼らに対して想ってるという事を。
だから、
「大丈夫、私は彼らと友達なだけだから」
思うんだ。
この人達が、
第一印象でなく、
第二印象で彼らの事を見てくれないだろうか。
って。
誰だって第一印象で決まる。
顔が綺麗な人には近づきたいし、
人気者と一緒に居たい気持ちとか。
でも第二印象では違う。
その人の中身を見る事になるから。
この人はこんな事が出来るんだ、
この人はこんな風に感じるんだなとか。
第一印象がいいと第二印象を感じやすい。
でも。
どちらかが相手を遠ざけたりすれば。
第一印象以上のことは感じられない。
「友達な、だけなの?」
心配そうに、不安そうに聞いてくる彼女。
背は私と同じくらいなのに何故か、
とても小さな存在に感じられた。