不思議な“キツネ”ちゃん
「そういえば、朱里ちゃん」
「なぁに?」
「今日は用事ないの?」
いきなりなんだろう。
何かあるのかな?
そう思ってあー君に聞いてみたのに、
「そ~だよ」
なぜか答えたのはシンヤ君。
あーあーあー。
シンヤ君が答えるからあー君、拗ねてるよ。
しかもシンヤ君ニヤニヤしてるし。
最近分かったことはあー君はみんなに、
細かくいうとシンヤ君とショー君に、
いじられてる。
シンヤ君とショー君は幼馴染みだから
仲がよくてイタズラとかよくする。
その被害者は大抵あー君。
この前なんかあー君が髪を染めるときに
カラーをわざと違うのを買ってきたらしい。
つける寸前にあー君が匂いで気づいたから
セーフだったとあー君は言っていた。
ヘアカラーって匂いの選別が出来るんだ、
って思っていたらタク君に
あー君だけが出来る神業だと言われた。
「あー君、今日は用事ないよ」
いつもは早く帰っている。
未来に会いに行っていたんだけど、
今日は未来と、
京のお母さんとお父さんと旅行に行っている。
京のお父さんに
「未来は俺たちがいるからゆっくりしなさい」
「高校生なのだから友達とも遊んでいなさい」
本当に優しい家族だ。