不思議な“キツネ”ちゃん
アカリ 《サイド》
「わ、私もう戻るね!」
そういって出ていった彼女。
転入生の彼女はどこか他と違っていて。
人目見たときから気になっていた。
たまに、遠くを見るような目。
それが何を意味するか、気にはなる。
けど。
彼女はまだ僕たちに心を完全に開いてない。
覚悟も決まってない。
「大丈夫かな?朱里ちゃん」
啄に聞いてみる。
この中では一番冷静でしっかりしている。
「どうだろうな」
彼女はさっき戸惑っていた。
無意識に、僕たちに話したことに。
誰が旅行中なのかはしらないが、
きっと彼女の過去に関係があるのだろう。
「調べては、あるぞ。あいつのこと」
思わず翔太郎をみる。
もっとも以外だか彼はネットに強い。
だからハッキングができる。
調べられるのは今までの
学歴、健康診断、出生記録とか。
そこから優が調べる。
交遊関係が広い彼はこういう時に便利だ。
「それってど~ゆ~こと?」
深夜が翔太郎を鋭く睨む。
深夜は朱里ちゃんの事をすごく気に入ってる。
「あいつのこと、調べた」
翔太郎がそんな彼を試すように笑った。
「これを聞くかはお前ら次第」
彼女の事を聞いて
彼女を傷つけないようにする。
それか、
彼女の口から聞くまで待つか。
勝手に聞いたら軽蔑するかもしれない。
もしかしたら彼女は一生話さないかも。