プリンスの気まぐれ
世間でいうリビングにお茶とお菓子が運ばれてきて、2人でお茶をすることになった。

クラスが離れてしまった2人に気を遣い、瑛仁は少しは時間をくれるだろう。

瑛仁は根は優しいし、
傍若無人な振る舞いは私にしかしない。
また、姉の侑子の英才教育(?)のおかげか彼は侑子に逆らうことができないからだ。

そして私は瑛仁の言うことに基本的に逆らうことができない。

つまり侑子の一人勝ちである。

そんなことはさておき、

「今日も貴女のクラスの前、騒がしかった?」

と侑子は聞いてくる。

「ええ。当然。」

と答えると

「2年経っても飽きないのねー。すごいわねー。
まあ、瑛仁は見た目がいいからねー。」

そう、我が学年が高等部に入学してもう2年目。
それでも彼女達は飽きずに私の教室に現れる皇太子様を見に来る。

でも…

「貴女のところだってすごいじゃない、侑子。」

「それはそうだけど、私はいずれ降嫁する身よ。でも瑛仁は違うわ。この堅苦しい、いつも見張られている皇室に入るのよ?彼女達は本当にわかっているのかしら?」

「さあ、どうなのかしらね?
彼女達にとって瑛仁は身近にいるアイドルなのじゃないかしら?
本当に、真に近づくつもりなんてないのじゃない?
だからこそ、私だって嫌がらせとは無縁に生きてこれたのじゃない?」

そうだ、普通なら皆のアイドルを独り占めして無事で居られるわけがない。いくら私が姉の侑子と親友だとしても。

「そうよね。皆わかっているのよね。貴美子が特別だってこと。」

「さあ。それにうちの学校はいつ入学したかで完璧な縮図ができているから。
幼稚舎からの私達には手出しできないのではなくて?」

「確かに、それもあるわね。
(あとは、貴女が無自覚だからまだ脅威ではないと思われているのよ。
貴女は瑛仁のことをなんとも思っていないとね。瑛仁も可哀想に。でも初恋は実らないとも言うしねー。どうなることやら。)」

と、話していると…

「姉さん、もういいだろ。」

と瑛仁が部屋から出てきた。

「ええ。もういいわ。
(まあ瑛仁はまだ中学3年生。お父様もお元気だし、急ぐことではないものね。でも、幼稚舎から数えて11年も経っているのにまだ全然意識もされていないなんてね。瑛仁のことなんて貴美子は近所の子供ぐらいにしか思っていないのではなくて?まあ、皇室という立場はとても重い。貴美子なら大丈夫だと思うけれどよく考えてから決めるべきことだものね。まだこの段階でもいいと思うわ。)」

「じゃあ、付き合ってくれてありがとね、侑子。
侑子?」

「あ、ごめんなさい。少し考え事をしていたわ。
瑛仁に何かされたら迷わず大声を出してね。私はいつでも貴美子の味方よ。」

「?
う、うん。わかった。」
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