プリンスの気まぐれ
ーside皇太子様ー

貴美子は姉・侑子の幼稚舎からの親友だ。
姉達が高2になり、クラスが離れてからも続く唯一無二の親友と言っていいだろう。
3歳で出会ってから17歳の今まで、もう14年の付き合いになるのか。
2人はこれから先どんなことがあってもずっと続く関係なのだろうなと思う。

そんな貴美子に俺は3歳の時に出会った。
幼稚舎に入園することになった俺は母と姉に手を引かれ、あの日幼稚舎へ行った。
入園式の日、俺と手を繋いでいない方の手を嬉しそうに振りながら姉は言った。

「貴美子ちゃん!」

つられてそちらを見た俺の目に飛び込んできたのは、頭の上に輪っかがついてない天使だった。

いきなり立ち止まった俺に怪訝な顔をする母と姉。
あの子と話してみたい!それだけが心を支配し、それまで緊張していた入園式のことなど全く覚えていない。
あの日の記憶はそれだけだ。


幸いにして、貴美子は姉の親友だった。
それから数年は貴美子のことは姉の親友の綺麗なお姉さんとして慕っていた。
しかし、俺が初等部の5年になった時姉さん達は中等部に上がり、
校舎が離れ、簡単に会うことはできなくなった。
貴美子に学校であまり会えなくなり寂しく思っていた時に俺は見てしまった。
貴美子が中等部の校舎裏で告白されているところを。

その時に俺は理解した。
俺は貴美子のことを愛していたのだと。
幸い、貴美子の家柄はうちとも釣り合う。
貴美子は俺のことは弟ぐらいにしか思ってないだろうが、それはまだ急がなくてもいい。
しかし害虫ははらっておく方がいい。と。

将来国の顔となることが決まっている俺は家庭でも様々な教育を受けていたため、頭は切れる方だった。
それに、自分が好いた女性が自分と結婚できる諸条件を満たしているなど結構な確率の奇跡である。
この奇跡を俺は無駄にはしない。

しかし俺が結婚できるまであと3年。
母からそれとなく琉苑寺家に話はしてくれていると思うが貴美子はもう結婚できる年齢だ。
そろそろ急ぎ始めないといけないな。

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