俺はまだ天使の笑顔を見れなくて
「平山、自分が幽霊だって噂されてるの知ってる?」
「もちろん、光栄なことだわ
幽霊になれることは本望だもの」
幽霊になりたいってことか?
「まさか自殺とか考えてないよな?」
さっきから話しているけど、正直平山が正常な精神だとは思えなかった
俺の知ってる限りでの平山とは別人すぎる
「自殺……そうね。
それができたら苦労しないわ」
「そんなことぜってえ許さねえからな」
「心配しないで。さっきもいったでしょ?
憎しみこそ私の生き甲斐って
死んでしまったら私はあの人のことを思い出すこともなくなるもの」
『矛盾』
俺の頭の中でその一言がよぎる
死んでしまえば楽
でも憎しむことが生き甲斐
憎しみが幸せにつながるわけがない
そして平山の言う『あの人』
一体誰なんだ……