俺はまだ天使の笑顔を見れなくて
「きれいな場所でしょ」
「え、あぁ……」
黒い髪が月明かりに反射して光る
気づけばあたりは真っ暗だった
「また来週ここにくれば私に会えるわ」
「え?学校に行けば会えるだろ?」
「学校の私は時が止まったままの姿なの
ここにくれば私は過去の姿に戻れる
学校で会ったところであなたのことなんか気にも止めないわ」
つまり、平山と話せる機会はここだけってことか……
「なんでそんなこと俺に教えるんだ
邪魔されたくないだろ?」
「そうね。確かに邪魔だわ
でもあなたは今日のことでさらに私が気になる存在になったでしょ?
だから少しずつ教えてあげる。私のこと」
そう言うと、平山は柵から下りた
「じゃあね、また来週会いましょう
田中祐輔くん」