俺はまだ天使の笑顔を見れなくて
俺たちが向かったのは、社会科室だった
校舎の隅のほうにあり、授業がない限り誰も来ない場所にある
「ごめん、いきなり……」
牧野にしては珍しく、しゃべり方に元気がない
「大丈夫だけど……なんか悩み事?」
「…………田中さ、悠里のことどう思ってる?」
悠里……
牧野は確かにそういった。
誰も話しかけることのない平山を名前で呼んでいた
そして、突然牧野はその場に泣き崩れた
「……あたしもう頼れる人がいないの……っ。お願い……田中…っ」
「悠里を……助けて……っ」