俺はまだ天使の笑顔を見れなくて
キーンコーンカーンコーン
「きりーつ、礼」
「「さよならー」」
帰りのホームルームが終わり、俺は荷物をまとめてすぐに教室をでた
今週末にはサッカー部の県大会を決める大事な試合が入ってる
一応キャプテンだし、1秒でも多く練習したい
「田中!」
「あ?」
後ろから名前を呼ばれ俺は緊急停止
誰だよ、こっちは忙しいのに……
振り返ると、目の前には背の小さいショートボブの女子、同じクラスの牧野夏希がいた
活発でクラスでも目立つ存在、あまり女子と喋らない俺も結構話すやつ
「牧野?俺早く部活いかねえといけないんだけど……」
「あ、えと……ごめん
急いでるならまた今度でいいや」
珍しく歯切れの悪い牧野
「なんかあった?」
「ううん、急ぎのようじゃないからまた話すね
今週末試合頑張って」
「おう、じゃあまた今度」
なんの話だったんだろう……
そんなことを考えながら俺は校舎の階段をかけ降りた